道に迷ったとき、どうすれば生き延びられるのか
調査に夢中になったり、獲物の足跡を追ったりしているうちに、深い森の中で道に迷ってしまうことがある。 あるいは、歩くのが遅れて一行から取り残され、誰にも気づかれないまま見失ってしまうこともある。キャンプや探検の最中に洪水に流され、荷物をすべて失って人里離れた場所に漂着することもあるだろう。また、追ってくる猛獣から逃げるうちに、まったく見知らぬ場所に迷い込んでしまうこともある。
道に迷うケースには、よくある二つのパターンがある。
誰も捜索してくれない場合
何らかの理由で道に迷ったものの、捜索を手配してくれる人が誰もおらず、必要な道具も準備していない(あるいは不十分な)場合、最優先の目標はできるだけ早く危険な区域から脱出することだ。最寄りの集落や安全な場所へ通じる最短ルートを何としても見つけなければならない。

道に迷ったら、まず方角を定めて道を探そう。
パニックに陥ると、落ち着いて考えることができなくなり、森の中を同じ所をぐるぐると歩き回ってしまいがちだ。しばらくさまよった末に、出発地点に戻ってきてしまうこともある。これは民間では「幽霊に導かれる」と呼ばれる現象だ。(左右の歩幅の違いによって、森の中では円を描くように歩いてしまう傾向がある)
*方角の定め方・探し方
そのためには、いくつかの方法がある。
まず、背の高い木、丘の頂上、岩場など、その一帯で最も高い場所を選んで登り、周囲を観察する。
木に登る際は、安全のために幹に体を寄せ、足を枝の付け根に置き、しっかりした枝をつかむこと。体は常に3点(片足と両手、または片手と両足)で支えるようにする。
昼間であれば、塔や高層ビル、田畑、家屋、煙など、集落の特徴が見えることがある。夜であれば、火の明かりや電灯が見えるかもしれない。都市部は、たとえ遠く離れていても、夜には光が空を照らし、後光のように見える。
集落が近くにあれば、森が静かなときに、車のクラクションや汽笛などの遠くから響く大きな音が聞こえることがある。
では、何も見えず、何も聞こえない場合はどうすればよいのだろうか。
小川や川を何とかして見つけ、流れに沿って下流へ進もう。ただし、川は決してまっすぐには流れていないため、移動距離は常にずっと長くなり、容易ではない。

小川や川を探そう。(写真:Patti Perkinson)
涸れた沢を見つけたら、沢床に沿って進むとよい。歩きやすいうえ、大きな沢や川に出られる望みがある(湧き水や小さな水たまりで水を見つけられる可能性も高い)。
川や沢を見つけるには、高い場所に登って観察するとよい。緑の木々が長く連なっている場所があれば(特に乾季には)、そこに沢や川がある可能性が高い。あるいは、山や丘の斜面を下っていく方法もある。斜面の下には谷筋や小さな沢があることが多い。流れに沿って進めば、より大きな沢や川に出られる。
沢に沿って進むのは、どの沢も最終的には川に注ぎ、川の両岸には集落や漁村があることが多いからだ。漁師や森で働く人の船に出会えることもあり、救助される可能性が高まる。
移動中に小道を見つけたら、運は大きく開ける。ただし、その小道が古いものか新しいものか、人がつくったものか野生動物がつくったものか、森の奥へ続いているのか集落へ通じているのかを見極める必要がある。
小道の分かれ道を観察して判断しよう。森の奥へ向かう道は、通常、正立したV字形に分岐している。逆に、集落へ通じる道は逆V字形に分岐している。判断がつかない場合は、小道を横切る沢に出るまで進み、そこにとどまって人が通りかかるのを待つとよい。そこには飲み水があり、沢沿いで食べ物も見つかるかもしれないからだ。ただし、まだ体力に余裕があると感じたら、休息を取って十分な飲み水を携えたうえで、再び出発しよう。人の住む場所はそれほど遠くないと信じることだ。
捜索してくれる人がいる場合
原野に入る前に誰かに知らせておいたのに約束の日になっても戻らない、グループを離れてどこかへ行き道に迷った、見知らぬ土地での任務に就いて行方不明になった――こうした場合には、救助隊が組織されてあなたを捜索するだろう。では、あなた自身はどう行動すべきだろうか。
救助を待つ間は、次のアドバイスに従おう。
- その場にとどまる。脱出路が見つからず、周囲の人が必ずあなたの行方不明に気づいて捜索を手配してくれると確信できる場合だ。これは非常に重要で、食料が不足し、けがをしているかもしれない状況で、体力やエネルギーの消耗を抑えることができる。

道に迷ったら、その場にとどまろう。(写真:number1.com)
- 周囲の環境を把握することで、水源、食料、避難場所、薪などを見つけられる。
- 避難場所をつくる。快適な避難場所があれば、安心してリラックスでき、緊張や恐怖が和らぐ。
- 目につきやすい目印をつくる。捜索する人(あるいは上空を通過する航空機)があなたの居場所を見つけやすいように、(開けた場所で)火をたいたり、色のついた布や衣服、帽子などを高い所や目立つ場所に掲げたりする。
- 大きな音を立てる。笛を吹く、中が空洞の木の幹をたたくなどの方法がある。
- 火を絶やさない。薪や燃料が許す限り火をたき続け、合図にするとともに猛獣を遠ざける(ただし山火事には注意すること)。
- 忍耐強く、慎重に。焦って無理に脱出路を探そうとしてはいけない。かえって遠くへ迷い込み、捜索する人たちをさらに困らせることになりかねない。
- 安心すること。人間の体は水なしで約3日間、食料なしで約3週間耐えられる。その場にとどまっていれば、必ず誰かが見つけてくれる。
では、道に迷う可能性をできるだけ低くするには、どうすればよいのだろうか。
森や原野に入る前に

森に入る前に、森についての知識を身につけておく必要がある。(写真:500px.com)
- 家族(または関係当局)に、行き先、目的、予定ルート、帰る時期を伝えておく。
- 特に森によく入る人は、(多機能)折りたたみナイフ、ライター、コンパスなどの必需品を常に携帯する習慣をつける。
- あらゆる装備を最大限に活用する能力を学んで鍛え、サバイバル技術に精通し、地図とコンパスの使い方を身につけ、自然についての知識を持つ。
- 緊急時の応急処置や病気への対処法を知っておく。
森に入ったら
1. 地図がある場合
- 20~30分ごとに地図上で自分の現在地を確認し、実際の周囲の景色と一致しているかを照らし合わせる。
- 風向きと進行方向を観察・比較し、最初の頃と比べて風向きがずれていると感じたら、進行方向を確認し直す。
- 移動にかかった時間と速度を覚えておき、進んだ距離を推定する。
- 大木、奇岩、アリ塚、岩穴、森で働く人の小屋、湧き水など、地図には載っていないが目につきやすい特徴的な地点を地図に書き込んでおく。

森に入るときは地図を持っておこう。(写真:depositphoto)
2. 地図がない場合
- 木の幹にナイフで刻み目を入れる、枝を折る、背の高い草の束を結ぶ、取り決めた方法で石や枝を並べる、小さな木に布切れを結ぶなど、通った道に目につきやすい目印を残す。これらの目印は、動物や自然がつくった痕跡と簡単に区別できるものでなければならない。
- 見取り図を描き、地形の特徴や主要な目印、特徴的な景観を書き留め、方向を変えた地点を記録する。
- 風向き、太陽の方向、月の出と月の入りを観察して覚え、星座を観察する。
結び
常に心に留めておこう。私たちの目的は生き延びることだ。だからこそ、未来への「美しい夢」や「大きな計画」で自分を奮い立たせよう。それこそが、今の状況を乗り越える力を与えてくれる。
深い森の中で独りきりになったとき、思いを自由に巡らせることも臨機応変に対応することもできなければ、森はあなたを恐怖の中に沈めてしまうことを覚えておこう。

