面積3,900平方キロの巨大氷山が崩壊した理由
南極海の海流の変化が、巨大氷山A68aの崩壊を引き起こした可能性がある.
A68aは表面積3,900km2で、2017年に南極のラーセンC棚氷から分離した氷山A68の最大の破片だった。プリンストン大学の専門家チームは10月19日に学術誌Science Advances に発表した研究で、衛星画像とデータを用いて氷山が2度の崩壊を経験した2020年12月にさかのぼり、その原因を調べた。

氷山A68aの変化と、2020年に起きた2度の崩壊を示す衛星画像。(写真:Science Advances)
A68aはサウスジョージア島の付近を通過した後に亀裂が入り始め、氷山の底が海底を引きずられたことで大きな塊が分離した。しかし2度目の崩壊は、氷山が当時、深く開けた海域に浮かんでいたため、専門家を困惑させた。
「通常、氷山は海底に座礁することで一部が割れて分離します。しかし今回は、海流データを調べたところ、氷山の指のような形をした部分が、他よりも強い海流の区間に重なっていたように見えました。そのため、これが氷山を割るのに十分な力を生んだと考えるのは妥当だと思われます」と、研究の筆頭著者でプリンストン大学大気海洋科学(AOS)プログラムの研究者であるアレックス・ハット(Alex Huth)氏は説明する。
研究チームは、2度目の崩壊は「海流の変化」によって起きたもので、海流の変化が氷山の一部の崩壊につながったという、これまで記録されたことのない現象だという仮説を立てた。仮説を検証するため、チームは海流や風などの外力が氷山にどのように作用するかを評価した。
A68aのシミュレーションを作成した結果、氷山が非常に強い海流と非常に弱い海流がぶつかる位置にあると、各部分の結合に亀裂が入り始めることが分かった。また、氷山の指のような形状も、2つの海流にまたがるほど氷塊を長くしたため、崩壊の一因となった可能性がある。
ハット氏らは、A68aの崩壊を研究することで、地球のシステムにおける氷山の役割や、氷山が外力とどのように相互作用するかをより深く理解できると考えている。
「氷山は南極で失われる氷の約50%を占め、氷床から分離して形成されます。漂流する際には、融解水を氷床から遠く離れた場所へ運びます。これは水柱の成層化を通じて海洋循環に影響を与え、海に鉄分を供給することで植物プランクトンの増加にもつながります」とハット氏は述べている。

