組織培養技術でハノイ・タイ湖の蓮を保全
ベトナムの植物資源センター(Trung tâm Tài nguyên Thực vật)の研究者らが、植物組織培養によってタイ湖の蓮を増殖させる手順の確立に成功した。
バックジエップ蓮(Bách Diệp、ハノイのタイ湖〈Hồ Tây、西湖〉の蓮)は貴重な品種だが、次第に劣化が進んでいる。現在、タイ湖での蓮の栽培面積も徐々に縮小している。研究チームにとっての課題は、いかにして確かな種苗を確保するかだった。株分けだけで増やす方法では増殖率が低く、劣化しやすいため、この蓮が持つ特有の性質が次第に失われる恐れがある。
植物資源センターのドン・バン・ゾイ(Đồng Văn Giới)准教授と同僚らは、タイ湖周辺の栽培地で原種の遺伝資源を収集し、ハノイのベトナム農業学院(Học viện Nông nghiệp Việt Nam)にある蓮遺伝資源保全・活用・開発センターで原種として保存した。この原種をもとに、ゾイ氏は組織培養によって確かな種苗を作り出した。この方法により蓮の特性をそのまま保つことができ、苗は病害虫に侵されない。試験管内(in vitro)での研究は成功し、500点を超える苗が評価のため苗圃に移されたところだ。

タイ湖で栽培されるバックジエップ蓮は価値の高い遺伝資源だ。写真:Ngọc Yến
ゾイ准教授によると、バックジエップ蓮はハノイのタイ湖一帯で古くから栽培されてきた品種だ。「百葉(バックジエップ)」の名は、1輪の花に100枚もの花弁があることに由来する。見分けやすい特徴は、ピンク色の八重の花弁、長く続く香り、そして大きくみずみずしい蓮の雄しべ(「蓮の米」と呼ばれる)だ。バックジエップ蓮の最もよく知られた価値は長く濃厚な香りにあり、茶の香り付けに使われる唯一の蓮となっている。
長年にわたり蓮を研究してきた野菜果物研究所(Viện Nghiên cứu Rau quả)のダン・バン・ドン(Đặng Văn Đông)副所長(准教授)は、実際にベトナムの貴重な蓮の種・品種の多くが劣化しつつあり、貴重な蓮の遺伝資源を保全・保存・復元・開発することが非常に重要だと述べた。
通常、農家は集団の中から貴重な性質を持つ最良の株を選んで別に栽培し、その後、種子(純系品種の場合)や、病害のない環境で地下茎・塊茎によって増殖させることで、原品種の性質を保った良質な苗を得ることができる。しかしドン氏は、保全・復元を効率よく進め、質の高い苗を得るには、組織培養が最適な方法だと考えている。組織培養では短期間で大量の苗を作ることができ、増殖した株は母株の本来の形質を保つため、蓮の遺伝資源の保全につながる。
タイ湖の蓮は、保全が必要な特産・希少遺伝資源に分類されている。2017年、植物資源センターとベトナム農業学院の研究者らは研究を行い、タイ湖の蓮の品種を識別するための特徴的な形態的特性をいくつか示した。
この研究により、バックジエップ蓮は次のように特定された。葉は濃い緑色で、葉柄と花柄は淡い緑色。1枚の葉には20〜22本の葉脈があり、葉身はざらざらしている。つぼみは長い楕円形で、先端は丸みを帯びた淡いピンク色。八重咲きの花はピンク色で、花托の上面は平らで、蓮の実は長い楕円形をしている。タイ湖の蓮1輪の花弁は平均で約100枚。蓮の実は花托上に3重の同心円状に並び、1列目は1〜5個、2列目は5〜12個、3列目は10〜17個からなる。
ゾイ氏は、苗圃に移した苗が良い結果を出すことを期待している。これらはバックジエップ蓮の高品質な種苗の供給源となり、地元の人々が栽培して収入向上につなげることができるという。
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