1億3000万年前の恐竜の「へそ」の傷跡、科学者を驚かせる
保存状態が極めて良好なプシッタコサウルスの化石から、現生のワニに似た長いへその傷跡が腹部に見つかった。

地面に横たわり、長いへその傷跡を見せるプシッタコサウルスの3D復元図。(写真:Jagged Fang Designs)
科学者らは、約1億3000万年前に現在の中国に生息していた プシッタコサウルス(Psittacosaurus、「オウムトカゲ」)の化石から、これまでに記録された中で最古のへそを発見した。研究成果は6月7日付で学術誌BMC Biologyに発表された。この傷跡は哺乳類のようなへその緒ではなく、卵を産むこの生物の卵黄嚢に由来する。
現在、多くのヘビや鳥類は孵化後数日から数週間でへその傷跡を失う。一方、成体のワニなど一部の動物は生涯へその傷跡を持ち続ける。プシッタコサウルスのへその傷跡はワニに近く、少なくとも性成熟するまで、場合によってはその後も長く残っていたとみられる。
これは、新生代(約6600万年前から現在まで)より前に生きた非鳥類型恐竜で、へそが確認された初の例である。今回の発見は、すべての陸生恐竜に長く残るへその傷跡があったことを意味するわけではないが、その可能性は残る。

プシッタコサウルスのへその傷跡をレーザーで撮影した画像と、うろこの拡大画像。(写真:BMC Biology/Phil Bellほか)
「このプシッタコサウルスの標本は、恐竜の皮膚を研究する上でおそらく最も重要な化石だ。レーザー画像などの新技術によって、今も驚きをもたらし続けている」と、オーストラリアのニューイングランド大学の古生物学者フィル・ベル(Phil Bell)氏は述べた。
このプシッタコサウルスの化石はSMF R 4970と呼ばれ、2002年に中国産の標本として報告された。保存状態が極めて良く、個々のうろこや尾の長い剛毛の房、さらに非鳥類型恐竜で初めて見つかった総排出腔まで残されている。この恐竜は仰向けの姿勢で化石化したため、あらゆる細部が研究者の目にさらされている。
研究チームはレーザー画像を用いて、恐竜のへその部分、つまり幼体が卵黄嚢を吸収した位置で、皮膚とうろこの変化を特定した。へその緒と同様に、卵黄嚢は卵の中で発育する胚に酸素と栄養を供給する。尿膜と呼ばれる別の器官も胚につながり、卵の中の老廃物を集める。動物が孵化する前にこれらのつながりは閉じられ、長い傷跡が残る。
研究者らは以前から、卵を産む恐竜にはこうした傷跡があるはずだと考えていたが、それを裏付ける証拠は今回が初めてだ。恐竜の軟組織の化石は非常にまれで、SMF R 4970は、腹部で対になったうろこに挟まれた細い柱のような傷跡を、かつてないほど鮮明に示している。
うろこの大きさが正常で縁が滑らかなことから、この傷跡はけがや病気によるものではないことがわかる。むしろワニとの類似性から、へそであることが示されている。
「プシッタコサウルスの標本で、長い傷跡を囲む特徴的なうろこを特定した。これは現生の一部のトカゲやワニに見られるものと似ている。私たちはこの種の傷跡をへそと呼んでおり、人間のものはもっと小さい。この標本は、極めて良好な保存状態のおかげで、へそが残された初めての恐竜化石だ」と、香港中文大学の古生物学者マイケル・ピットマン(Michael Pittman)氏は述べた。
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