人間にはおとなしいのに毒ヘビの天敵、虹色に輝くヘビ
ベトナムには、非常に特殊なうろこを持つヘビが生息している。人間に対してはとてもおとなしいが、毒ヘビにとっては天敵とされるヘビだ。
サンビームヘビ――特殊なうろこを持つヘビ
ここで紹介するのはサンビームヘビで、ベトナム語ではホーハイン(hổ hành)またはザンモン(rắn mống)と呼ばれ、学名はXenopeltis unicolor。サンビームヘビ科に属する。サンビームヘビ科はXenopeltis属の1属のみからなり、サンビームヘビとハイナンサンビームヘビ(Xenopeltis hainanensis)の2種を含む。

強い日差しの下では、サンビームヘビは多彩な色に輝き、非常に美しい。
この2種に共通する特徴は、外からの光によってうろこの色が変わって見えることだ。特に強い日差しの下では、多彩な色に輝き、非常に美しい。
サンビームヘビ類は中国のほか、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、インドネシア、マレーシア、シンガポール、そしてベトナムなど東南アジア諸国に分布する。2種のうち、ベトナムでより広く分布し、目にする機会が多いのはサンビームヘビ(Xenopeltis unicolor)の方だ。
成体のサンビームヘビは全長1~1.2mで、頭部と首の境目ははっきりしない。頭部は細長くとがっており、土を掘りやすい形になっている。
特有の虹色に輝く皮膚を持つため、動物や爬虫類に詳しくない人でも、野外で簡単に見分けることができる。
幼体は成体とよく似ているが、頭部の周りに首輪のような白いうろこの帯がある点が異なる。この「首輪」は生後1年の間に薄れていく。

白い「首輪」が目立つサンビームヘビの幼体。(写真:ThaiNationPark)
外見の色に加え、サンビームヘビは体臭でも識別できる。このヘビはあまり心地よくない臭いを放ち、その臭いは生のタマネギに似ている。臭いがかなり強いため、姿を見る前に存在に気付く人も多い。ベトナム語名「ホーハイン」の「ハイン(hành)」はネギ・タマネギを意味し、これが名前の由来かもしれない。
ベトナムでは、サンビームヘビはベトナム南西部のタイナムボー(Tây Nam Bộ、メコンデルタ)地方に多く見られる。茂みや湖畔など、カエルが多く生息し、豊富な餌がある場所に潜んでいることが多い。
サンビームヘビに毒はあるのか?
ベトナム語名に「ホー(hổ、コブラ類を指す語)」という語が含まれているものの、実際には猛毒を持つ「ホー」の仲間、すなわちコブラ科には属さない。前述の通り、サンビームヘビはサンビームヘビ科に属し、毒を持たない。
サンビームヘビ――毒ヘビの天敵
毒を持たないサンビームヘビは、体の力で獲物にきつく巻き付いて殺してから食べる。この狩りの方法は、ニシキヘビやその他一部の無毒のヘビと同じだ。

筋肉の力で獲物を締め付けて殺すサンビームヘビ。(写真:ResearchGate)
サンビームヘビの狩りの効率を高める特徴の一つは、歯が固定されておらず、上下に柔軟に折りたためることだ。獲物を捕らえると、歯が獲物に深く食い込んで後ろ向きに倒れ、獲物をしっかりと押さえて逃げにくくする。またこの歯の構造は、獲物を丸のみしやすくする役割も果たす。
もう一つの驚くべき特徴は、一部の毒ヘビの毒に対する耐性を持つことだ。その中にはコブラ、マルオアマガサ、タイワンアマガサなどコブラ科の一部の種も含まれる。このため、サンビームヘビは出会った毒ヘビを捕らえて食べることができる。

コブラ科に属する猛毒のヘビ、タイワンアマガサを締め付けるサンビームヘビ。(写真:TBH)
もちろん、サンビームヘビが殺して食べられるのは自分より小さい毒ヘビに限られる。キングコブラのように自分より大きな毒ヘビに出会った場合、打ち負かして食べることは難しく、逆に毒ヘビの餌食になることもある。
多くの専門家は、庭でサンビームヘビを見つけても殺したり追い払ったりせず、「番人」としてそのままにしておくべきだと指摘する。庭に毒ヘビがいた場合、その数を減らしてくれる可能性があるからだ。
毒ヘビ以外にも、サンビームヘビはカエル、トカゲ、一部の小型哺乳類など、非常に多様なものを食べる。
サンビームヘビ――人間にはおとなしいヘビ
毒ヘビの天敵とされる一方で、サンビームヘビは非常におとなしく、人間を襲うことはほとんどない。人が手に持っても、逃げようとするだけだ。

ベトナム南部の旧キエンザン(Kiên Giang)省(現在はアンザン省の一部)で見つかったサンビームヘビ。(写真:Trần Trí Dũng)
おとなしい性格と鮮やかな色から、サンビームヘビはペットとして人気が出るだろうと考える人も多い。
しかし前述の通り、サンビームヘビは多くの人が不快に感じる特有の臭いを放つ。また飼育下では死んでしまうことが多いため、ペットには適さない。
まとめ
サンビームヘビはおとなしく、生態系に役立つヘビだ。特徴的な外見で簡単に見分けられるので、野外で出会ったら手を出さず、距離を置くようにしよう。
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