ベトナム北部の洞窟で約200点の考古遺物を発見
ベトナム社会科学アカデミー(Viện Hàn lâm Khoa học Xã hội Việt Nam)の考古学調査団は、ベトナム北部の旧バッカン(Bắc Kạn)省(現タイグエン省)の博物館と協力し、ホアンチー(Hoàng Trĩ)村のナムルー(Nậm Lù)洞窟、および旧バーベー(Ba Bể)県クアンケー(Quảng Khê)村のタムパン(Thẳm Pán)洞窟とタムウン2(Thẳm Un 2)洞窟で試掘調査を行い、約200点の考古遺物を発見した。遺物は主に石器、骨、土器で、年代は今から約8000~1万年前とされる。

タムウン2洞窟での試掘調査。(写真:ベトナム通信社)
ベトナム社会科学アカデミーのチン・ナン・チュン(Trình Năng Chung)准教授(博士)によると、先史時代の人々の痕跡はほぼすべての洞窟で見つかった。考古遺物には貝殻や動物の骨・歯が混じっていた。土器は地表の層で見つかった。発掘坑からは古い炉跡2か所も確認されたが、墓の痕跡はまだ見つかっていない。
調査団は、細い方の端に穴を開けた楕円形の平たい石片を発見した。円形の穴の直径は0.4cmである。考古学者らは、これはひもを通して首に掛ける装身具だった可能性があるとみている。この種の遺物は国内の先史遺跡ではまだかなり珍しい。磨製石器はまだ見つかっていないものの、発掘坑から砥石が出土したことは、古代の住民が研磨技術を知っていたことを示している。多数の敲石、原料となる礫、打撃痕のある石や剥片の存在は、道具の加工・製作がその場で行われていたことを示している。
石器のほとんどは川や渓流の礫から作られていた。発掘坑から得られた石器の種類は新石器時代初期の文化の特徴を備えており、円盤形石器、楕円形石器、短斧、両刃のチョッパー、スクレイパー、大型剥片から作られたナイフ、敲石、砥石、すり棒、すり石などがある。

タムウン2の石器。(写真:ベトナム通信社)
考古学者らは多くの動物の骨や歯の破片を収集した。動物骨の分析により、イノシシ、サル、ヤマアラシ、ヤケイ、タケネズミ、シカなどが暫定的に確認された。貝類は主に渓流の巻貝、陸生の巻貝、イシガイ類、シジミ類の殻で、植物遺存体としてはカンラン(Canarium)の種やタマリンドの種などがわずかにある。多数の動物の骨や歯、貝殻、植物遺存体が見つかったことは、この地の先史時代の人々にとって狩猟採集が食料獲得の特に重要な手段だったことを示している。すり石とすり棒の存在は、食物の調理加工が通常、炉のそばで行われていたことの証拠である。
洞窟の地表で見つかった土器は、さまざまな器種の破片である。胎土には植物質がわずかに混ぜられ、焼成温度はかなり高く、器壁は薄く硬い。ろくろ(回転台)で成形され、細かい縄目文、短い平行直線の刻線文、小さな円を連ねた押印文で装飾されている。一部の破片には外面に黒いすすの跡があり、煮炊きに使われた可能性がある。製作技術と文様から、これらの土器片は金属器時代の土器の特徴を持つと判断でき、年代は今から約3000~2500年前とされる。

動物の骨・歯と巻貝の殻。(写真:ベトナム通信社)
チン・ナン・チュン准教授によると、洞窟で見つかった遺物の総合的な研究と、文化層の堆積の構造と年代に基づき、研究者らはタムウン2洞窟が何世代にもわたる先史時代の人々の居住遺跡だったと暫定的に考えている。最も古い住民は新石器時代初期に属し、年代は今から8000~1万年前である。その後、数千年という長い期間、この遺跡には人が住んでいなかった。さらに約3000~2500年前には、金属器時代の人々がここに短期間住み、土器という形で痕跡を残した。タムウン2遺跡は歴史的、文化的、科学的に高い価値を持つ。
タムウン2洞窟は山麓から約20mの高さにある。大きなアーチ形の洞口は東やや南向きである。洞口の前には大きな谷が広がり、渓流が流れている。洞内の面積は約100 m2。洞内の大部分には自然光が差し込み、先史時代の人々の居住に非常に適していた。
専門機関は近く、ナムルー洞窟とタムパン洞窟の遺跡でも試掘調査を行う計画である。
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