ベトナムで見つかったシカの角、2000年前の楽器の可能性
長さ35センチの角の破片は、サンバーまたはホッグジカのものである可能性が高く、メコン川沿いで発見された。

復元した遺物(A)と、ブロ・ジョライ(Bro JoRai、B)、コーケー(cò ke、C)、クニー(K'ný、D)など他のベトナムの楽器との比較。(写真:F Z Campos/Antiquity Journal)
科学者らはベトナムのメコン川沿いの遺跡で、珍しいシカの角の破片を発見した。これは東南アジアでこれまでに発掘された中で最も古い弦楽器の一つである可能性がある。一弦のハープに似ており、現在もベトナムで演奏されている複雑な楽器の原型である可能性もある。研究成果は2月21日、学術誌『Antiquity』に掲載された。
遺物は長さ35センチのシカの角で、一方の端にペグ(糸巻き)を差し込むための穴があり、ギターの糸巻きのように弦の張りを調整できた可能性がある。弦そのものはとうの昔に失われているが、弦を支えていたとみられる駒(ブリッジ)は残っている。
オーストラリア国立大学(ANU)とロンアン博物館(旧ロンアン(Long An)省、現在はベトナム南部のタイニン(Tây Ninh)省)の考古学者らは新たな研究でこの遺物について報告し、ほぼ確実に、弾いて音楽を奏でる弦楽器だと結論づけた。 「ほかに使い方を合理的に説明できるものはない」と、筆頭研究者でANUの博士課程に在籍するフレデリザ・カンポス(Fredeliza Campos)氏は話す。
角はサンバーまたはホッグジカのものである可能性が高い。いずれも東南アジア原産の種だ。研究チームは遺物の年代を2000年前と特定し、メコン川沿いに栄えたベトナムのプレ・オケオ(Óc Eo)文化のものとした。
「これは東南アジアにおけるこの種の弦楽器として最も古い例の一つです。この地域で記録されている最古の楽器であるリソフォン(石の打楽器)と、より新しい楽器との間の空白を埋めるものです」とカンポス氏は付け加えた。

2000年前の楽器を古代の人々がどのように演奏していたかを示したイラスト。(写真: F Z Campos)
古代ベトナムの音楽文化をより深く理解するため、研究チームはこの地域で見つかった600点以上の骨製遺物の目録を調べた。分析の結果、この珍しい角は目録の中に位置づけられることが分かり、またクニー(K'ný)など、ほかの古代ベトナムの楽器の存在も示された。
「クニーは弓を使う一弦の楽器で、奏者の口で操作します。さまざまな音や音色を出すことができ、ピアノで普段耳にする半音階よりも多くの音を奏でられます」とカンポス氏は説明する。
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