3700年前の象牙の櫛を発見、シラミ退治の願いを刻む
この高級な櫛には二つの用途があった。片側には絡まった髪をほどくための間隔の広い6本の歯、もう片側にはシラミを取り除くための目の細かい14本の歯が並んでいる。
研究者らは、象牙の櫛に刻まれた銘文が、アルファベットで書かれた現存最古の完全な文と考えられることを突き止めた。その内容は「この牙が髪とひげのシラミを根絶やしにしますように」というものだ。この高級品は、紀元前2千年紀にカナン人の都市国家であり、のちにユダ王国第2の重要都市となったラキシュで発掘された。新たな研究は11月9日、学術誌『Jerusalem Journal of Archaeology』に掲載された。

シラミの除去と髪のもつれほどきという二つの役割を持つ象牙の櫛。紀元前1700年ごろに作られた。(写真:Dafna Gazit/イスラエル考古学庁)
「この銘文はとても人間的だ。櫛があって、そこに髪とひげのシラミを退治したいという願いを書く。現代ではあらゆるスプレーや薬があるが、当時の人々にはそうしたものがなかった」と、ラキシュの発掘調査を共同で指揮したエルサレム・ヘブライ大学の考古学者、ヨセフ・ガーフィンケル教授は語る。
古代の櫛は木や骨、象牙で作られることがあったが、当時のカナンにはゾウがいなかったため、象牙の櫛は高価な輸入ぜいたく品だった。この象牙の櫛は縦3.5センチ、横2.5センチほどの大きさで、2017年に見つかった。しかし、表面に浅く刻まれた文字が発見されたのは昨年12月のことだった。分析の結果、この銘文は約3800年前に誕生した最古のアルファベットであるカナン文字で書かれていることが確認された。
研究者らは櫛に放射性炭素年代測定を適用できなかったが、紀元前1700年ごろに作られたと推定している。櫛はすり減って歯が失われているが、残った部分から、片側には髪のもつれを取るための間隔の広い6本の歯、もう片側にはシラミとその卵を取り除くための目の細かい14本の歯があったことが分かる。研究チームが顕微鏡で櫛を調べたところ、長さ0.5ミリのアタマジラミの若虫の外殻の破片も見つかった。
「銘文が日常生活について書かれているのは非常に興味深い。人類の歴史を通じて、シラミは常に存在する問題だった。この銘文は、古代の裕福な有力者でさえその問題から逃れられなかったことを示している。この銘文入りの櫛が、本来の役目である厄介な虫の駆除に役立っていたことを願う」と、ジョージ・ワシントン大学のクリストファー・ロールストン教授は話す。

