ベトナム北部ムーカンチャイで古代の岩刻画が多数見つかる
イエンバイ(Yên Bái)省博物館(ベトナム北部のイエンバイ省はその後ラオカイ省に統合)のホアン・ティエン・ロン(Hoàng Tiến Long)館長によると、旧ムーカンチャイ(Mù Cang Chải)県チェークーニャ(Chế Cu Nha)村ハンチュアサイ(Háng Chua Say)集落で古代の岩刻画が見つかったとの情報を受け、博物館職員が現地を訪れ、刻まれた岩の価値を調査・評価した。
岩刻画のある岩は保安林の中にあり、多数の大きな砂岩の塊(1m3から20m3)が7~80mの間隔で点在している。その中には長さ2m超、幅約2mの岩刻画のある岩もある。

ムーカンチャイで見つかった、棚田の模様が刻まれた古代の岩。
この岩はやや盛り上がった平らな面を持ち、表面はくぼんだ円(7個)、くぼんだひし形(1個)、大きな浮き彫りの同心円(1個)、幾何学模様、そして岩の縁を幾重にも飾る棚田の模様で埋め尽くされ、不思議で独特な作品となっている。
村の職員で地元出身のルー・ア・チュー(Lù A Trư)さんによると、この岩から東へ約20mの所に約20m3の大きな岩(地元では「父の岩」と呼ばれる)がある。 モン族の人々はよくこの岩を訪れ、「岩の神」に供え物をして健康を祈る。岩刻画のある岩は、地元のモン族の呼び方で「母の岩」だという。
予備的な観察では、刻まれた模様はかなり精密で手間がかけられており、岩肌の凹凸に沿って柔らかく曲線を描いている。主な題材は棚田で、2015年、2020年、2021年にラオチャイ(Lao Chải)村(同じくムーカンチャイ)で見つかったものと似ている。
チェークーニャ村の岩の違いは、太鼓の面のように浮き出た同心円と、くぼんだひし形が刻まれている点だ。これは、これまでにラオチャイ村で見つかった14個の古代の岩とは異なる図柄である。
イエンバイ省博物館の専門職員によると、民族学的観点から見て、これらは先住のモン族による刻画である可能性がある。 年代は16~17世紀ごろとみられ、「棚田の設計図」、あるいは棚田の所有者が自ら築いたものの美しさを感じ取って描いたものかもしれない。
同博物館のリー・キム・コア(Lý Kim Khoa)副館長は、これは境界標ではなく、多くの人が推測したような地図でもなく、先住民による「昔の人々が棚田の設計を伝えたメッセージ、あるいは岩に描いた棚田」である可能性があると述べた。
このことから、モン族は一般に涼しい温帯性の高山気候の土地を好み、焼畑農業、狩猟、採集、移住によって暮らしてきたと推測できる。彼らは非常に聡明で創造性に富み、農具や狩猟具から精神文化に至るまで、すべてを自ら生み出してきた民族である。
比較してみると、岩に刻まれた図柄は、この民族が耕作し、少しずつ広げて自然の中に美しい景勝地として描き出してきた棚田に非常によく似ている。
こうした研究の方向性に沿って初めて、これらのメッセージを理解できる。ムーカンチャイの岩刻画群の年代や民族学的な意味を明らかにするため、科学者による継続的な研究と解読が強く求められている。
チェークーニャ村とラオチャイ村での岩刻画の新たな発見は、ムーカンチャイ地域全体の古代岩刻画の研究と総合的な調査の可能性を開くものだ。また、棚田やムーカンチャイ種・生息地保護区と結びついた探検型観光を計画・開発するための科学的根拠にもなる。
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