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ベトナム、ぬかの油分が多いジャポニカ米を開発

ファム・ヴァン・クオン(Phạm Văn Cường)教授らの研究チームが、ぬかに含まれる油分が20%を超え、食用油の製造に利用できる新しいイネの系統を育成した。

米ぬか油 は製造が容易で安価なうえ、必須脂肪酸や抗酸化成分、とりわけガンマオリザノールを豊富に含むことから人気が高まっている。ベトナムではコメやぬかの生産量が多いものの、米ぬか油はまだ普及していない。一方、日本は高品質な米ぬか油向けのイネ品種の育成に成功しており、世界有数の米ぬか油の生産・消費国となっている。

ベトナムで米ぬか油向けの有望なイネの新系統を開発するため、ベトナム科学技術省は2019年、遺伝資源の交換と米ぬか油加工向けのジャポニカ米品種の育成を目的とする二国間・多国間プログラムを開始した。ハノイにあるベトナム国家農業大学(Học viện Nông nghiệp Việt Nam)が主導し、日本の九州大学農学部の研究者グループと共同で実施された。

ファム・ヴァン・クオン教授(同大学ベトナム・日本作物研究センター、研究責任者)によると、分析の結果、新しいジャポニカ系統のぬかの油分含有量は、ベトナムの一般的な品種(カンザン18〈Khang Dân 18〉)より約7%高かった。ぬかの割合も約6%高いため、油の収量は一般品種を大きく上回る見込みだ。ガンマオリザノール含有量も約50%高く、油の品質も良好だという。このジャポニカ米は耐寒性や耐肥性、耐倒伏性を備え、一部の病害虫にもかかりにくい。


ナムディン(Nam Định、現ニンビン省)でのDCG93品種の試験栽培。(写真:本人提供)

分子・遺伝学的な選抜手法を用いて、ベトナムの条件に適した優良遺伝子を持つジャポニカ系統が作出された。最初の種子は年3作で世代を進めた。ハノイでの春作と夏秋作(雨季作)の2作、そしてメコンデルタのソクチャン(Sóc Trăng、現カントー市)での冬春作1作である。 「新しいジャポニカ品種DCG93は採油に適しており、北部山岳地帯の各省のように日射の強い地域では春作で高い収量が得られる」と、クオン教授は1年余りの事業の成果について語った。

試験圃場で栽培したDCG93品種 の生育期間は、北部の各省で春作が135~140日、雨季作が120~125日だった。茎が丈夫で倒伏に強く、病害虫の被害も少なく、平均収量は春作で1ヘクタール当たり6.9トン、雨季作で5.7トンだった。DCG93の米は、ぬか割合(15.2~15.6%)、ぬか中の油分含有量(23.3~24.1%)、ガンマオリザノール含有量(2.21~2.23%)がいずれも高い。比較対照としたベトナム北部で広く栽培されているジャポニカ品種J02は、ぬか割合が9.5~9.8%、油分含有量は18.1~18.4%にとどまり、ガンマオリザノール含有量は1.37~1.41%だった。

クオン教授によると、事業の成功の鍵は日本の素材と選抜手法を活用したことにある。これを基に、研究チームはベトナムの栽培地域の生態条件に適したジャポニカ米の栽培手順を確立した。さらに、粗米ぬか油の抽出技術も開発し、実験室規模で良好な初期成果を得ており、油の品質も高いという。


イネ品種の研究で光合成測定装置を使用するファム・ヴァン・クオン教授。(写真:本人提供)

クオン教授は、米ぬか油を大規模に生産するには原料産地と結び付ける必要があり、一般品種の精米で出るぬかも活用できると述べた。採油向けジャポニカ米の生産規模を拡大するとともに、稲作の経済効率を高めるため、ぬかを取った後のジャポニカ米の加工・利用についても研究が必要だという。

クオン教授はさらに、チームは今後もジャポニカ系統DCG93やその他の有望系統の開発を続けるとともに、米ぬか油の抽出・精製工程を改良していくと付け加えた。「DCG93が品種として認定され、大規模に生産が拡大して生産者の経済的価値が高まるよう、科学技術省や地方自治体、企業から引き続き支援を受けられることを願っています」と、クオン教授は語った。

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