ベトナム・クアンチ省の石灰岩山地で絶滅寸前の固有植物の新属・新種を発表
各国の研究者からなるチームが、ベトナム中部クアンチ(Quảng Trị)省の石灰岩山地で、新属でもある固有の新種を発表した。

新種 Chlorohiptage vietnamensis T.V.Do, T.A.Le & R.F.Almeida(写真:LÊ TUẤN ANH)
研究チームは、クアンチ省の旧ダクロン(Đakrông)県と旧カムロ(Cam Lộ)県(県級行政区は2025年に廃止され、同省は旧クアンビン省と合併)にまたがるレイザーバック(Lèn Con Rồng)石灰岩山地とロックパイル(Núi Một)石灰岩山地で生物多様性の調査・研究を行う中で、新属 Chlorohiptage T.V.Do, T.A.Le & R.F.Almeidaを記載した。この属を代表する新種はキントラノオ科(Malpighiaceae)のChlorohiptage vietnamensis T.V.Do, T.A.Le & R.F.Almeidaで、同じ地域からはもう1つの新種ミカン科(Rutaceae)のGlycosmis quangtriensis T.A.Le & Taganeも発表された。
Chlorohiptage vietnamensisについては花の構造の解析と分子レベルの検査が行われた。比較の結果、世界で全く新しい属に属する新種であることが判明した。属名は緑色の花と、ヒプタゲ(Hiptage)属との形態的な類似性の高さに由来する。
Chlorohiptage属はヒプタゲ属と、花弁が淡緑色から黄緑色であること(ヒプタゲ属は白色から黄色)、雄しべが長い9本と短い1本からなること(ヒプタゲ属は短い9本と長い1本)などの特徴で区別される…
研究チームには、ベトナム中部科学研究所(Viện Nghiên cứu khoa học miền Trung)、ベトナム国立自然博物館(Bảo tàng Thiên nhiên Việt Nam)、バクザン農林大学(Đại học Nông Lâm Bắc Giang)、メコンデルタのカントー大学(Đại học Cần Thơ)、英国のキュー王立植物園、ブラジルのゴイアス州立大学、日本の鹿児島大学総合研究博物館の研究者が参加している。

新種 Glycosmis quangtriensis T.A.Le & Tagane(写真:LÊ TUẤN ANH)
Glycosmis quangtriensis T.A.Le & Tagane は2022年に初めて採集された。1年以上かけて花と果実を十分に採集し、各地の博物館に保管されている標本と照合した結果、研究チームは科学的に新しい種であると結論づけた。
種名はクアンチ省にちなむ。同省は現在までに本種の分布が確認されている唯一の地域だ。本種は高さ約1.5mのやや枝垂れる低木で、葉は単葉で葉柄がなく、葉身は細長い楕円形、葉縁は波打ち、葉の基部は心形となる。
花序は枝先に付き、花柄と萼には赤褐色の毛が密生し、花柄は非常に短く枝に密着する。花は両性で白色、花弁には油腺が見られる。果実は球形で、若いうちは緑色、熟すと淡いピンク色になり、細かい柔毛に覆われる。
2つの新種はいずれも、国際自然保護連合(IUCN 2012、2022)の基準で絶滅危惧IA類(CR)と評価された。このため研究者らは、保全のための増殖研究や、両種の有効成分の構造と生物活性に関する研究で協力を進めている。
ロックパイルとレイザーバック(Lèn Con Rồng)の同じ石灰岩山地で新属と新種が見つかったことは、この地域の生物多様性の豊かさを明確に示している。
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