ベトナム北部の洞窟で植物の新種3種と新記録種6種を発見
ベトナム北部の洞窟に生育する植物について、63科142属337種を収録した目録が初めて作成された。
北部の洞窟植物の多様性調査の過程で、ベトナム科学技術アカデミー(Viện Hàn lâm Khoa học và Công nghệ Việt Nam)傘下のベトナム自然博物館(Bảo tàng Thiên nhiên Việt Nam)のドー・バン・チュオン(Đỗ Văn Trường)准教授らの研究チームは、科学的に新種となる植物3種(Bredia bullata, Microchirita minor, Primulina crassifolia)を発見・記載したほか、ベトナム植物相に新たに6種(Aristolochia austroyunnanensis, Brandisia kwangsiensis, Euchresta tubulosa, Henckelia nanxiensis, Primulina jingxiensis, Spiradiclis baishaiensis)を追加した。

ベトナムの洞窟植物の新種および新記録種の一部。(写真:研究チーム)
研究チームは、ベトナム北部の8省(当時)にある33の洞窟で植物標本を採集した。対象はハザン(Hà Giang、現トゥエンクアン省)、トゥエンクアン(Tuyên Quang)、カオバン(Cao Bằng)、ランソン(Lạng Sơn)、ホアビン(Hòa Bình、現フート省)、ソンラ(Sơn La)、ニンビン(Ninh Bình)、タインホア(Thanh Hóa)の各省である。
チームは北部の洞窟植物として63科142属337種を確認した。このうちシダ植物(Pteridophytes)が53種(15.73%)、被子植物(Angiospermae)が284種(84.27%)を占める。
研究ではまた、221種が観賞用、伝統的な薬用、木材・薪、食料などとして利用価値を持ち、特に40種が希少で貴重な遺伝資源であることも示された。発見後、チームは337種の植物について形態・生態のデータベースを構築し、ベトナムの固有種や新たに発見・記載された洞窟植物25種については分子データを整備した。
チュオン准教授によると、北部の洞窟植物のうち25種がレッドリストに、4種がベトナム・レッドデータブックに掲載されている。研究者らは、ベトナムの洞窟で新たに発見された植物種の絶滅危惧の程度と保全状況についても初期評価を行った。

北部の洞窟で現地調査を行うドー・バン・チュオン准教授(左端)と研究チーム。(写真:研究チーム)
ベトナムの洞窟系には、独自の生物学的価値が数多く秘められている。洞窟植物の多様性評価は、希少種・固有種・有用種の遺伝資源の保全と持続可能な活用に向けたプログラム策定の科学的根拠となり、社会経済の発展とベトナムの石灰岩山地における森林生態系の回復に寄与する。
チュオン准教授らは今後、ベトナム中部の石灰岩山地でも洞窟植物の種構成の調査を続ける予定だ。同准教授は、石灰岩地域や洞窟地域の固有種・希少種を選別・保全することは、その独自の遺伝資源を洞窟景観の回復に生かし、保全と観光開発に役立てるうえで意義があると述べている。
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