気の弱い人にはお勧めできない、ベトナム唯一の博物館
国立マラリア・寄生虫・昆虫研究所にある寄生虫博物館は、人間にとって恐ろしい寄生虫の標本を数百点も展示する、ベトナムで唯一の施設だ。

寄生虫博物館は、ハノイ市にある国立マラリア・寄生虫・昆虫研究所(Viện Sốt rét - Ký sinh trùng - Côn trùng Trung ương)の本館9階にある。ここでは回虫、鉤虫、吸虫・条虫、病気を媒介する中間宿主など345点の標本が、ホルマリンを満たしたガラス瓶や水槽、ガラス皿に保存され展示されている。

博物館は2010年に構想され、2013年に正式に設立された。人や動物にとって危険な寄生虫の多様性や生活環を紹介している。

展示品は厳格な手順で保存されている。蠕虫類はカルミンで染色して乾燥標本箱に固定し、成虫の条虫はガラス板に固定してホルマリン液中で保存する。

人間に影響を与える寄生虫の標本に加え、これらの寄生虫が人体に及ぼす害を示す写真も展示されている。

吸虫に感染した人間の肝臓の標本。ホルマリン液に浸して博物館に展示されている。この標本は1990年、当時のハナムニン(Hà Nam Ninh)省(のちのナムディン省、現在はニンビン省の一部)ギアフン(Nghĩa Hưng)県で採取された。

数百匹にもなる人の回虫の塊。1998年に発見・採取された。


回虫や条虫の標本と、それらが人の健康に及ぼす害が収集され、博物館で展示されている。

沢ガニ、タウナギ、魚など、人に蠕虫や吸虫をうつす中間宿主の標本も、専門家チームが収集・処理・保存し、博物館に展示している。

博物館には、旧ソ連製の顕微鏡が数多く保管されている。製造から数十年が経つこれらの顕微鏡は、長年にわたり国立マラリア・寄生虫・昆虫研究所の数千人の医師や医療従事者の研究や学習に大きく貢献してきた。
国立マラリア・寄生虫・昆虫研究所の寄生虫学科長、ド・チュン・ズン(Đỗ Trung Dũng)准教授(医学博士)によると、博物館は標本を保管するだけでなく、国内外の何世代もの医学生、博士課程の学生、医師や医療従事者が学習・研究に利用する信頼のおける場でもあるという。

同じ建物の9階には昆虫博物館もある。国立マラリア・寄生虫・昆虫研究所が設立された1957年に造られ、当時は「標本保管室」と呼ばれていた。

2003年に改修され、「昆虫博物館」と名付けられた。数千点の標本が保管・展示されており、その中には多くの基準標本も含まれる。

昆虫博物館は、医学分野の研究、特に系統学・分類学や、医学上重要な昆虫や外部寄生性昆虫の資源・生物多様性に関する研究のために、標本の提供や標本の照合を行ってきた。

宿主と昆虫の標本は、主に4つのグループに分けられている…グループ1:外部寄生虫の宿主――ネズミ、シカ、サンバー、キョンなど、外部寄生性昆虫の宿主。グループ2:双翅目――ハマダラカ(Anopheles、マラリアの媒介蚊)、ヤブカ(Aedes、デング熱の媒介蚊)、イエカ(Culex、日本脳炎の媒介蚊)。グループ3:外部寄生虫――ノミ(ペスト)、マダニ(ダニ熱、リケッチア症)、ツツガムシ(ツツガムシ病)、ダニ類(リケッチア症)。グループ4:その他の種――ハエ、アオバアリガタハネカクシ、サシガメ、鱗翅目、鞘翅目、シラミなど。

博物館内に展示されている、非常に珍しい完全な形のトラの毛皮。この標本は1981年5月2日、当時のソンベー(Sông Bé)省(のちのビンフオック省、現在はドンナイ省の一部)ドンソアイ(Đồng Xoài)のドンフー(Đồng Phú)で採取された。トラは厳重に保護されている動物であり、ベトナムではトラやその体の一部を狩猟・取引・消費することは違法である。

国立マラリア・寄生虫・昆虫研究所の昆虫学科長、グエン・ヴァン・ズン(Nguyễn Văn Dũng)博士は次のように話す。「ベトナムには、国立獣医研究所やハノイ第一農業大学、その他いくつかの大学など、研究や教育のために標本を保管している機関がある。しかし、医学上重要な節足動物の標本をこれほど多くの数と種類で専門に保管している博物館は、国立マラリア・寄生虫・昆虫研究所の昆虫博物館だけだ」。

