ベトナムの学生、遭難者の位置を自ら探し出す救命浮き輪を開発
ベトナム中部のダナン大学(Đại học Đà Nẵng)傘下の技術教育大学(Đại học Sư phạm Kỹ thuật)の学生2人が、救命浮き輪とリストバンドの間でGPSを使って通信し、遭難者の位置を自ら探し出す救命浮き輪を開発した。
開発したのは、電気・電子学部4年生のチャン・バン・フック(Trần Văn Phúc)さんとダン・タイン・ソン(Đặng Thành Sơn)さん。2022年8月から研究を始め、従来の救命浮き輪に代わり、技術を活用して遭難者を捜索するスマート浮き輪の実現を目指してきた。
チームリーダーのフックさんによると、スマート浮き輪にはGPS装置が搭載されており、利用者が身に着けるリストバンドと通信して信号を発信する。これにより浮き輪は遭難者の位置を自ら特定し、人が操作しなくても救助に向かうことができる。
ダナンの漁港で製品を紹介するフックさん。(動画:本人提供)
浮き輪は複合繊維製のU字型で、船の舷側や湖・川の岸辺などに掛けておくことができ、電磁ロックで固定される。浮き輪の後部には電動モーター2基が取り付けられ、最高時速20kmに達する。利用者のリストバンドには圧力センサーとGPS測位機能が搭載され、遭難者の位置を特定する。
人が水中に落ち、あらかじめ設定された閾値に達すると、圧力センサーが制御回路に情報を送る。浮き輪にもGPSが搭載されている。2つのGPS信号は中央制御回路に送られ、位置を比較して最も近い浮き輪を起動させる。その浮き輪は電磁ロックを自動で解除し、GPS上の位置をもとに遭難者のもとへ向かう。

漁師のニーズを探るため、チームは漁港で救命浮き輪を試験した。(写真: 本人提供)。
チームは7月、装置の性能を評価するため、ダナンの漁港で試験を行った。漁に出る漁師にリストバンドを着けてもらい、水に浸してシステムが起動するかを確認した。その結果、波が小さく風も弱い条件下で、装置は半径180m以内の遭難者の位置に2分で到達した。
救助用の装置には、事故が起きた際に高い即応性が求められる。そこでフックさんとソンさんは、浮き輪の位置、稼働状況、バッテリー残量、地元の救急機関の電話番号など、救命浮き輪に関するすべての情報を管理するモバイルアプリを開発した。これにより、必要なときに製品が常に正常に作動できる状態を保てるという。
ただしフックさんによると、海上ではGPSの信号受信に遅れが生じ、救助性能に影響する。チームはこの問題を解決するため、無線通信による接続の試験を予定している。また海上では、高波や強風などの影響を受けると、現在のモーターでは速度を維持するのが難しい。チームは海洋環境でも安定して稼働できるよう、より出力の高いモーターの導入を計画している。

チームが設計した能動型救命浮き輪のイメージ。(写真:本人提供)。
ダナン大学技術教育大学の制御・自動化工学技術学科で講師を務めるドー・ホアン・ガン・ミー(Đỗ Hoàng Ngân My)修士は、チームのアイデアを高く評価した。チームは、人による操作を必要としない高度な自動化を備えた能動的に救助できるスマート浮き輪を生み出した。ただし研究はまだ浮き輪1つでの試験段階で、複数の浮き輪によるシステムには至っていない。そのため、運用時の即応性と正確性を確保するには、複数の浮き輪からなるシステム全体を監視する共通モデルを構築する必要があるという。
またミー氏は、さまざまな救助環境に合わせて救命浮き輪の設計や機能を調整するため、できるだけ実際に近い状況で何度も試験を重ねる必要があると指摘した。
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