鼻に角が生えた驚きのヘビ、ベトナムのライノラットスネーク
タンサー・キーラン(ライノラットスネーク)はベトナムに生息する、きわめて奇妙な姿をしたヘビだ。一見恐ろしげだが、実際は非常におとなしい。
ベトナムに、とても風変わりな外見を持つヘビがいることはあまり知られていない。ベトナム語で「タンサー・キーラン(thanh xà kỳ lân、「一角獣の青ヘビ」の意)」と呼ばれるライノラットスネークで、学名は Gonyosoma boulengeriだ。ほかにも「象の鼻のヘビ」「鼻ヘビ」「象ヘビ」などの呼び名がある。

非常に奇妙な外見を持つヘビ、ライノラットスネーク。
ライノラットスネークの体つきはやや細身で、全長は約1~1.5メートルと控えめだ。体色も独特で、幼体のうちは全身が灰色だが、成長すると緑色や淡い若葉色に変わり、ほとんどの個体には模様がない。
このヘビは、鼻先にある鋭くとがった、いかにも恐ろしげな角で簡単に見分けられる。多くの動物の角とは異なり、この角は伸びた鱗でできており、鼻先に突き出した鱗に覆われた小さな肉質の突起だ。この「角」の主な役割は獲物をおびき寄せることだと考えられている。高い木の枝に体を掛けているとき、「角」は緑色のイモムシのように見え、それを狙って来た鳥がヘビの餌食になるという。

ライノラットスネークは、とがった角で簡単に見分けられる。
ライノラットスネークは卵からかえった時点ですでに角を持っている。ただし角はかなり柔らかく、幼いうちはまだ長く伸びていない。
ライノラットスネークは無毒で、人に害のないおとなしいヘビだ。好んで食べるのは鳥やネズミ、カエルなどの小型脊椎動物である。
このヘビは主にベトナム北部に分布するが、国内での南方の分布に関する最近の研究によると、最も南で確認されたのはベトナム南中部のデオカー(Đèo Cả)山地の森林(旧フーイエン〈Phú Yên〉省、現ダクラク〈Đắk Lắk〉省)だった。


ライノラットスネークは無毒で、おとなしいヘビだ。
この発見は多くの科学者を驚かせた。新たな生息地が、旧クアンビン(Quảng Bình)省(現クアンチ〈Quảng Trị〉省)などベトナム中部でのこれまでの記録から約600キロも離れていたためだ。
ベトナムでは、ライノラットスネークは神秘的な言い伝えとも結びついている。何世代にもわたり、とさかを持つヘビの話が語り継がれてきた。このとさかのあるヘビは決して人をかまないが、寺や祠を守る神聖なヘビだと信じられているため、誰もが恐れているという。このとさかのあるヘビのイメージは、ライノラットスネークから着想を得たものである可能性が高い。
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