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ベトナムに生息する唯一無二の「ひげ」を持つヘビ

ベトナムには、鼻先から2本の「ひげ」が生えた奇妙な姿で知られるヘビがいる。このヘビは世界で最も奇妙なヘビの一つとされている。その名はヒゲミズヘビ、学名はErpeton tentaculatum Lacepedeである。

ヒゲミズヘビは東南アジアに固有のヘビである。かつてはナミヘビ科(Colubridae)のミズヘビ亜科(Homalopsinae)に分類されることが多かったが、近年はミズヘビ科(Homalopsidae)に属すると考えられている。エルペトン属(Erpeton)唯一の種で、口の前にある2本の特徴的なひげで知られる。

ヒゲミズヘビはタイ、カンボジア、ベトナムなどの国々に生息している。ベトナム国内では、南部の旧ビンズオン(Bình Dương)省、旧ビンフオック(Bình Phước)省、旧タイニン(Tây Ninh)省のほか、旧ロンアン(Long An)省タンタイン(Tân Thạnh)地区や旧キエンザン(Kiên Giang)省などで見られる。


1回の出産で5~13匹の子ヘビを産む。

その珍しい姿から、ヒゲミズヘビは観賞用の生き物として世界各国に持ち込まれてきた。近年では、無秩序な捕獲や取引により、個体数が深刻な減少の危機に直面している。

生息地は主に湖や水田、流れの緩やかな川など、水が濁った場所で、淡水、汽水、海水のいずれにも生息できる。シルトを豊富に含む水と多様な魚類で知られるカンボジアのトンレサップ湖は、このヘビにとって理想的な生息環境の代表例である。

ベトナムの野生生物データベース「シンヴァットズンベトナム(Sinh vật rừng Việt Nam)」によると、このヘビは特徴的な形の頭部を持ち、胴体の鱗は大きく隆起し、腹部は非常に細い。体色や模様は変化に富み、胴体に褐色の斑点があるものが多い。穏やかな酸性の淡水域に生息する個体では、腹部の上側が黄褐色を帯びる。1回の出産で5~13匹の子ヘビを産み、生まれたばかりの子ヘビは体長20~24cmで、成体とよく似た姿をしている。


最大の特徴は、鼻先に生えた2本のひげ状の触手である。

獲物の反応を予測できることが知られる唯一のヘビ

ヒゲミズヘビは比較的小型で、平均体長は50~90cmである。最大の特徴は鼻先に生えた2本のひげ状の触手で、獲物、特に魚を感知するのに使われる。この感覚用のひげは非常に敏感で、水中のあらゆる動きを感じ取り、近くを泳ぎ過ぎる不運な魚に素早く襲いかかることができる。

その狩りの方法は、まるで釣り人のようだ。ヒゲミズヘビはじっと身を潜め、魚が近づいてくるのを待ってから攻撃する。攻撃の速さは驚異的で、わずか15ミリ秒で魚を捕らえる。しかし、極めて素早い反射と不意打ちをもってしても、魚を捕まえられないことがあるため、ヒゲミズヘビはもう一つの巧妙な手を使う。魚が近づいたことを察知すると、体の一部を曲げて水を揺らし、驚いて逃げようとする魚を待ち構える口元へとまっすぐ誘い込むのである。

毒を持つものの、その毒の量や毒性は人間に危険を及ぼすほどではない。ヒゲミズヘビにかまれた数少ない例でも、数時間眠気を感じただけで、ほかに深刻な症状は現れなかった。


子ヘビは母体内で卵が発育する卵胎生により、水中で生まれる。

ヒゲミズヘビは息継ぎのために水面に上がることなく、最長30分間水中にとどまることができる。陸上での動きはかなりぎこちない。乾季には、夕方になると泥の中に穴を掘って身を隠すことが多い。子ヘビは母体内で卵が発育する卵胎生により、水中で生まれる。ヒゲミズヘビは独特の待ち伏せ型の狩りを行い、通常はまったく動かない姿勢を保つ。尾で水中の物につかまり、体を逆「J」字形に曲げる。狩りの範囲は体の前方と右側の一部に狭まっている。魚がこの範囲に入ると、ヒゲミズヘビは素早く体を前方に突き出して獲物を捕らえる。

あらゆるヘビの中で、このヘビは獲物の反応を予測して適切な行動をとることが知られる唯一の種である。ヤスリヘビと同様に主に水中で暮らすが、陸上を移動することもできる。

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