コウモリ、スズメバチの羽音をまねてフクロウから逃れる
ヨーロッパに生息するコウモリ、ミオティス・ミオティス(Myotis myotis、英名:greater mouse-eared bat)は、フクロウに捕まるとスズメバチの羽音をまねて捕食者を欺く。
このコウモリが発するブーンという鳴き声は、フクロウに刺す昆虫だと思わせる可能性があり、その間にコウモリは逃げる時間を稼げる。研究チームによると、哺乳類でベイツ型擬態が確認されたのは初めてだという。この擬態では、無害な種が有害な種に似せることで、捕食者に狩られるのを避ける。イタリア・ポルティチにあるナポリ・フェデリコ2世大学のダニロ・ルッソ(Danilo Russo)氏らの研究チームが、5月9日付の学術誌「カレント・バイオロジー(Current Biology)」に発見を報告した。

スズメバチの羽音をまねて捕食者のフクロウを欺くミオティス・ミオティス(写真:Marco Scalisi)
ルッソ氏は野外調査の最中に、このコウモリの行動を観察した。「網からコウモリを外したり、手で扱ったりすると、コウモリはスズメバチのようにずっとブーンと鳴き続けていた」とルッソ氏は話す。
研究チームは当初、このブーンという音を珍しいタイプの苦痛時の鳴き声(ディストレスコール)だと考えた。コウモリがこの音を出すのには別の理由があるとも考えていた。仲間に警告している、あるいは捕食者をひるませている可能性だ。ルッソ氏のチームはこの問題をいったん保留にし、ほかの研究を進めた。数年後、彼らはこのコウモリの羽音のような鳴き声に関する仮説を検証するため、入念な実験を計画することにした。
研究ではまず、ルッソ氏らはコウモリの鳴き声と刺す昆虫の音の音響的な類似性を調べた。次に、飼育下のフクロウにこれらの音を聞かせ、その反応を観察した。
フクロウの種によって反応は多様で、それまでの経験によって異なった。しかし、いずれもコウモリと昆虫のブーンという音に対しては、音源から離れるように移動した。反対に、獲物となりうる動物の鳴き声には近寄っていった。研究チームは、今回の発見は哺乳類と昆虫の間の擬態行動を示す初の事例だとしている。
音の分析からは、フクロウの聴覚に合わせて聞くと、コウモリと昆虫の羽音がさらによく似ていることも明らかになった。研究チームはスズメバチが実際にフクロウを刺すことがあるとみているが、それを裏付けるデータはない。一方、鳥類が毒を持つ昆虫を避ける傾向があることを示す証拠はほかにもある。例えば、スズメバチが巣箱や木の洞に入り込むと、鳥はそこに巣を作らなくなる。
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