非常に気性が荒いが無毒で、農業に役立つヘビ
ベトナムに広く分布するあるヘビは、毒をまったく持たないにもかかわらず、非常に気性が荒い。このヘビはネズミを捕まえるのが非常に上手で、農業に役立つ生き物とされている。
ホウシャナメラ:ベトナムに広く分布し、よく見かけるヘビ
ここで取り上げるヘビはホウシャナメラで、ベトナム語ではラン・ホー・グア(rắn hổ ngựa)、ラン・ソック・ズア(rắn sọc dưa)、ラン・ゾン(rắn rồng)とも呼ばれ、学名はCoelognathus radiatus。ナミヘビ科(Colubridae)に属し、インド、バングラデシュから東南アジアにかけて分布しており、ベトナムもその分布域に含まれる。
ベトナムでは全国に分布しており、平野部や中部丘陵地帯でよく見られ、樹木や茂みの多い場所、使われなくなったネズミの巣穴などで見つかる。木登りが得意なため、低木の上や、時には屋根の上で見かけることもある。

ホウシャナメラは顔や体にある特徴的な模様で簡単に見分けられる(写真:Dan Rosenberg)。
ホウシャナメラは成体になると全長2mに達することがある。体の特徴から見分けるのは容易だ。目からは3本の細い黒線が伸び、2本は斜め下に向かって上唇の縁へ、残り1本はこめかみを通る。胴体には首筋から胴の中ほど過ぎまで4本の黒い縦縞が走り、中央の2本は太く途切れずに続き、両脇の2本はやや細く途切れ途切れになっている。

ホウシャナメラの幼体の頭部と胴体に見られる特徴的な模様(写真:Shutterstock)。
広く分布し、さまざまな環境に生息しているため、ホウシャナメラは人家の周辺、特に好物であるネズミが多く生息する場所でしばしば目撃される。ただし、見分けやすい特徴を持つため、人々はすぐにホウシャナメラだと気づき、適切に対処することができる。
気性は荒いが無害なヘビ
ベトナム語名「ホー・グア(hổ ngựa)」はコブラを指す「ラン・ホー(rắn hổ)」を連想させるが、このヘビはナミヘビ科に属し、毒を持たない。多くの人が誤解しているようなコブラ科(Elapidae)のヘビではない。

防御の姿勢をとると、ホウシャナメラは頭を高く持ち上げ、口を大きく開けて威嚇する(写真:Rừng hoang dã)。
毒はないものの、ホウシャナメラは攻撃的なヘビで、脅威を感じると先制攻撃を仕掛けることもいとわない。危険にさらされたり威嚇されたりすると、体の前方3分の1を地面から持ち上げ、口を大きく開けて首の皮膚を広げようとし、同時にいつでもかみつけるように構える。
ホウシャナメラはしばしば頭を高く上げて口を大きく開けた姿勢のまま敵を威嚇し、移動するため、多くの人が命に関わる危険なコブラと勘違いする。しかし実際には、このヘビは無毒で、人間にとってまったく無害だ。
ホウシャナメラにかまれると出血することがある。かまれた場合は、感染を防ぐため傷口を十分に消毒すること。ただし、かんだヘビがホウシャナメラだと確信できない場合は、ベトナムには見た目の似た毒ヘビもいるため、速やかに医療機関を受診すること。
攻撃的だが臆病で、死んだふりをして敵から逃れるヘビ
気性が荒く、自分から敵を威嚇することが多いものの、実はホウシャナメラは……臆病なヘビなのだ。
威嚇しても敵を退けられなかった場合、ホウシャナメラは見事な「死んだふり」の演技を披露する。このときホウシャナメラは仰向けになり、死んだかのように動かなくなる。外からどのような刺激を受けても、じっとしたまま一切反応しない。

威嚇が失敗すると、ホウシャナメラは「死んだふり」をして敵を欺く(写真:YouTube)。
多くの捕食動物には死んだ動物を食べない習性があるため、ホウシャナメラの「死んだふり」は、危険な捕食者や人間からさえも逃れる助けとなる。
しばらく動かずにいた後、脅威が去ったと感じると、ヘビは体を元に戻し、素早く捕食者から逃げ去る。しかし、なおも追われる場合は、敵の目をごまかして逃げ切るまで死んだふりを繰り返す。
農家に役立つヘビ
広く分布しているため、ホウシャナメラは人間と頻繁に出くわす。気性が荒いことから、逃げる前に人間を威嚇しようとすることが多く、そのため不運にも人間と出会うと殺されてしまうことが多い。

このヘビはネズミを捕るのが非常に得意だ。
ホウシャナメラはトカゲやカエルを食べ、時には魚や鳥のひなも食べる。しかし好物はネズミだ。素早く動けるためネズミを捕るのが非常にうまく、農業に役立つ動物とされている。
ホウシャナメラは無害で見分けやすく、農業にも役立つため、もし見かけたら、殺すのではなく追い払うようにするとよい。
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