ルック族の集落近くでサイの一種リノケロス・シネンシスの化石を発見
10月4日、ベトナム中部のフォンニャ・ケバン(Phong Nha-Kẻ Bàng)国立公園のディン・フイ・チー(Đinh Huy Trí)副園長は、旧クアンビン(Quảng Bình)省(現クアンチ省)旧ミンホア(Minh Hóa)県トゥオンホア(Thượng Hóa)村イエンホップ(Yên Hợp)集落に住む少数民族ルック(Rục)族の男性2人が、古い洞窟の中で、3万~5万年前のサイの一種リノケロス・シネンシス(Rhinoceros sinensis)の化石標本3点を発見したと明らかにした。
チー氏によると、リノケロス・シネンシスの化石を発見したルック族のチャン・スアン・バオ(Trần Xuân Báo)さんとチャン・スアン・レー(Trần Xuân Lê)さんが同氏を洞窟へ案内した。洞窟は幅2m、高さ15m、奥行き20mで、最奥部には地下から湧き出る水たまりがある。

クアンビン省ミンホア、トゥオンホア、イエンホップ集落で見つかったサイの化石標本3点。(写真:フォンニャ・ケバン国立公園提供)
1点目と2点目の標本は大型動物の歯2本で、3点目は歯4本と歯根の穴3つが残る顎骨の一部で、顎骨は黒色をしている。
標本を受け取ったチー氏は、ハノイ(Hà Nội)のベトナム考古学会に対し、種と年代の鑑定を依頼した。
同学会は鑑定を行い、2019年9月下旬に事務局長のグエン・ラン・クオン(Nguyễn Lân Cường)准教授が発出した文書第20/CV-KHCHVN号で回答した。それによると、イエンホップ集落(クアンビン省ミンホア、トゥオンホア村)で採集された標本3点はいずれも、奇蹄目(Perissodactyla)サイ科(Rhinocerotidae)に属するリノケロス・シネンシス(Rhinoceros sinensis (Owen))の臼歯の化石であることが確認された。

イエンホップ集落の住民からサイの顎の化石を受け取るディン・フイ・チー氏(白いシャツ)。(写真:フォンニャ・ケバン国立公園提供)
グエン・ラン・クオン准教授は次のように述べている。「このサイの種は、数十万年前から数万年前にあたる更新世中期・後期の遺跡で見つかっている。例えば、ベトナム北部ランソン(Lạng Sơn)省のタムクエン(Thẩm Khuyên)、タムハイ(Thẩm Hai)、ケオレン(Kéo Lèng)、旧イエンバイ(Yên Bái)省(現ラオカイ省)のハンフム(Hang Hùm)、ゲアン(Nghệ An)省のタムオム(Thẩm Ồm)、旧ハイズオン(Hải Dương)省(現ハイフォン市)のニャムズオン(Nhẫm Dương)、そしてホアビン(Hòa Bình)文化に属する多くの遺跡だ。
しかし、3点目の標本のような顎の一部が見つかったのは、これまでランソンのケオレンとハイズオンのニャムズオンだけだ。
そのため、イエンホップの3点目の標本は極めて貴重なものだ。化石の重さと堆積物の硬さから、3点の化石はいずれも5万~3万年前のものと考えている」
チー氏によると、ベトナム考古学会は2019年10月下旬にイエンホップのこの洞窟で発掘調査を行う予定だ。洞窟の地元での呼び名は、不必要な好奇心を招かず内部を原状のまま保全するため、現時点では公表されていない。
この洞窟はフォンニャ・ケバン国立公園の区域内にある。
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