ジブラルタル沖でシャチがレース艇2隻を襲撃
2023年6月22日、ジブラルタル海峡で、国際ヨットレース「オーシャンレース(The Ocean Race)」に参加していた2隻のヨットにシャチの群れが体当たりした。
シャチの群れと対峙するチーム・JAJO。(動画:The Ocean Race)。
オーシャンレースの関係者によると、シャチはチーム・JAJOとチーム・ミルプリ・トリフォーク・レーシング(Mirpuri Trifork Racing)のレース艇に激しく体当たりした。少なくとも3頭のシャチによる遭遇は15分間続き、乗組員は帆を下ろし、大きな音を立ててシャチを追い払わなければならなかった。けが人はいなかったものの、恐ろしい体験だったと、チーム・JAJOのスキッパー、イェルマー・ファン・ベーク(Jelmer van Beek)氏は語った。同氏によると、3頭のシャチが艇の舵に真っすぐ突っ込んできたという。
シャチの群れがVO65クラスのモノハル艇に近づいた時、チーム・JAJOはオランダからイタリアへ向かうレグで地中海の入り口に差し掛かっていた。乗組員が艇上で撮影した動画には、1頭のシャチが舵を押し、別の1頭が船首に頭をぶつける様子が映っている。
この海域でシャチに遭遇する可能性があることを事前に知っていた乗組員は、帆を下ろして艇の速度をレース速度の時速22.2kmから落とした。また、大きな音を立ててシャチを追い払おうとしたが、ハーグからジェノバまでのレグで2位から4位に後退した。「速く走っている時、シャチはより攻撃的だった。速度を落とした後は、彼らの攻撃も穏やかになり始めた」とファン・ベーク氏は述べた。

科学者らは、イベリア半島西岸沖でシャチが船に体当たりしたり、船を損傷させたりする事例を多数記録している。平均体長5~6.5m、体重3,600kg以上のシャチがこうした行動をとるのは、報復または遊びによるものと考えられている。スペインとポルトガル沖のシャチを研究する海洋科学者のチームは、攻撃に関わった15頭を特定し、そのうち13頭が若い個体だったことから、遊んでいるという仮説が補強された。しかし、群れの中の成獣2頭は、船との衝突が疑われる過去の負傷に反応しているという仮説を裏付ける可能性がある。
オーシャンレースは、全7レグで構成され、60隻が参加する全長5万9,000km、6か月間にわたる世界一周レースだ。レース艇は海洋保護区を迂回して航行するものの、時にクジラと衝突することもある。2022~23年のオーシャンレースでは、5月にニューファンドランド沖でクジラに衝突した1隻が救難信号を発し、乗組員2人が負傷した。

