ベトナムで発見された新種の毒ヘビを間近で見る
複数の国の科学者や生物学者がベトナム中部沿岸地域で調査を行い、新種のマムシ亜科のヘビ(ハブ属)を発見した。
学術誌『Zootaxa』に掲載された論文によると、各国の科学者や生物学者からなる研究チームは2023年、ベトナム南中部の沿岸の森林数か所で現地調査を行い、地域の野生動物を調べた。
この調査で研究者らは、目立つ黄色い目を持つハブ属のヘビを数十匹発見した。
中でも注目されたのは、ベトナムのニントゥアン(Ninh Thuận)省(現在はカインホア省の一部)の森で見つかった体長約63cmの個体だ。この個体は黄色い目と青い唇が特徴的で、樹上に身を潜めているところを発見された。

ベトナムで新たに見つかったトリメレスルス・キアノラブリスの個体(写真:Nick Poyarkov氏ら)。
当初、科学者らはこれらのヘビを既知の種だと考えていた。しかし捕獲した個体を詳しく調べたところ、異なる特徴を持つ全くの新種であることが分かった。
研究チームはこの新種に「青い唇のハブ」を意味する名を付け、学名をTrimeresurus cyanolabris(トリメレスルス・キアノラブリス)と命名した。種小名の「cyanolabris」は、ラテン語で「濃い青」を意味する「cyaneus」と「唇」を意味する「labrum」に由来し、このヘビの唇にある特徴的な青い模様にちなむ。
研究によると、この新種は鱗の数や体色、目の点で既知のハブ属の種と異なる。DNA解析でも、既知の他の種と少なくとも6%の遺伝的差異があることが示された。
トリメレスルス・キアノラブリスは小型の種で、体長は約60cmにとどまる。体は細長く、三角形の頭部は首とはっきり区別できる。顔には大きく明るい黄色の目が際立つ。

新たに見つかったこのヘビは、大きく明るい黄色の目が特徴だ(写真:Nick Poyarkov氏ら)。
体は緑色で、側面と腹部は黄緑色に変わり、尾の先端には暗赤色の帯がある。名前の通り、唇から顎、喉にかけて空色の筋が走っている。

科学者らが採集したトリメレスルス・キアノラブリスの標本の頭部(写真:ResearchGate)。
トリメレスルス・キアノラブリスはベトナム中部沿岸の海岸林に生息し、夕暮れ時から夜間にかけて活発に活動する。日中は低い枝や木の洞に身を潜めていることが多い。
研究者らは、川辺の岩の上や地上の茂みでもこのヘビの個体を見つけている。
研究結果によると、このヘビはカエルや小型のトカゲを食べる。
他のハブ属のヘビと同様に、トリメレスルス・キアノラブリスも人間にとって危険な毒を持つが、その毒についてはまだ詳しく研究されていない。
これまでのところ、この種は旧フーイエン(Phú Yên)省(現在はダクラク省の一部)から旧ニントゥアン省にかけての南部低地の数か所で確認されている。研究者らは、さらに広い範囲に分布している可能性があるとみている。
新種を発見した研究チームには、ベトナムの生物学者グエン・ヴァン・タン(Nguyễn Văn Tân)氏とレ・ダック・スアン(Lê Đắc Xuân)氏の2人のほか、サビラ・イディアトゥリナ(Sabira Idiiatullina)氏、アンドレイ・ブラギン(Andrey Bragin)氏、ニコライ・ポヤルコフ(Nikolay Poyarkov)氏(いずれもロシア)、パリンヤー・パワンカナン(Parinya Pawangkhanant)氏(タイ)、ゲルノット・フォーゲル(Gernot Vogel)氏(ドイツ)、パトリック・ダヴィッド(Patrick David)氏(フランス)ら各国の科学者が参加した。
見た目はどれも「赤い尾のアオハブ」、実は7種もの別種だった
ベトナムで「赤い尾のアオハブ」と呼ばれるヘビは、実は7種の別種だ。目の色や生息地、頬や尾の色で見分ける方法を紹介する。

